細胞を攻撃するのである

薬品業界ではインポテンスという言葉は使わず

薬を投与するほ
細胞をアポトーシスに導く

しかし原始的な生物は防御細胞や酸素を運ぶ細胞をつくる造血組織や血液、その血液を送り出す心臓こそもっていたものの、血管がない状態が長く続いたのです。今日でも、心臓はあるけれど血管がない生物はいっぱいいます。が、それらは、直接に細胞のあいだに血液を送って生命を維持しています。また、動脈や静脈があっても、昆虫などの節足動物や軟体動物などには毛細血管がありません。ですから動脈を流れる血液は直接に細胞間を経て静脈にもどります。たとえば、無脊椎動物のゴカイでは、血管のような脈管構造をとるのは一部にすぎません。このような非連続的な血管系を開放血管系と呼びます。まったく血管がない生物よりも効率はいいのですが、毛細血管がないので血液を動脈からいったん組織に出してしまうのです。
しかし、動きも速くなり、臓器の構造が複雑になった脊椎動物では、このような血管系では限界が生じます。もっと効率よく酸素や栄養を送らなければならなくなり、またケガをしたときの修復も必要になりました。そこで効率よく安定したかたちで血液を全身に送るために、マクロファージが変化して複雑な血管の仕組みがつくられたのです。人間も含めた脊椎動物の血管は、動脈、静脈、毛細血管から成り、動脈から流れ出た血液は毛細血管を経て静脈へもどります。血液はつねに血管内に閉じ込められています。ただし、血漿や白血球は血管壁から出て周囲の細胞とのあいだに組織液として流れ、血液と細胞間の物質伝達を受け持ちます。こうした血管系を閉鎖血管系といいますが、開放血管系からさらに進化した血管系であることは明白です。なご血管がマクロファージから変化した名残をよくとどめているのは、血管内皮細胞です。こには、マクロファージ同様に、異物を捕らえて飲み込む貪食作用があります。
たとえば、ネズミを使って血管に炭などの異物を入れる実験をすると、血管内皮細胞が炭を食べてしまいます。はちゅうるいほにゅうるいまた赤血球を見ても、魚類、両生類、爬虫類、鳥類では赤血球に核が残されていますが、哺乳類には核がありません。それは、大量の酸素を運ぶためには核が邪魔になったからです。つまり、マクロファージが変化する過程で核が消失して、いまのようにマクロファージとはかけ離れた形態になったのです。
ここからも、白血球のみならず、たことがわかります。

細胞を攻撃するのである

ホルモンのほとんどは脳でも作られるんです。

赤血球などほかの血液成分や血管もマクロファージから進化してつくられ三十歳以降のカギは古い免疫システムすでにお話ししたように、人間の免疫はマクロファージから進化してきたものです。もともとの免疫システムは自然免疫、細胞性免疫の素朴なシステムだったのが、環境の変化に応じて進化して、獲得免疫、体液性免疫という高度なシステムができてきたと考えられます。つまり、生物が海から上陸する以前からもっていた古い免疫システムと、上陸してから進化してきた新しい免疫システムが複合しているのではないかというのが私の考えです。
免疫システムの進化を見てみると、生物が水中に生息していた時代は、陸上と違ってほこりやウイルスのような微小な異物はほとんど存在しておらず、その活動範囲も限られていたので、異物が侵入することも少なく体内で生じる異物に対応すればよかったのでしょう。
それを担っていたのが、原始的な免疫力であるマクロファージです。
ですからこの時代までは、マクロファージが免疫のすべてだったと考えられます。それが免疫の原点だとしたら、もともとの免疫システムは、外から侵入してくる異物の排除よりも、体内で生じた、がんのような異常細胞を除去することだったということになります。
しかし、陸上に上がって生活するようになると、陸上の空気中にはほこり、細菌、ウイルスなど外敵がたくさんいますから、それらに対応しなければならなくなったわけです。しかも、陸上では水中の110倍もの酸素が摂取できるようになったので、血中の酸素濃度も五倍に上昇し、生命エネルギーが格段に増大して、水中時代とくらべて非常に活発に活動できるようになりました。当然、異物が入り込むことも多くなります。
こうした環境の変化にともなって、マクロファージが進化してきたのです。細菌の侵入に対しては顆粒球がウイルスなど微小な異物に対処するためにはリンパ球ができました。まずは、リンパ球のなかでも顆粒球に近いはたらきをする原始的なNK細胞や胸腺外分化細胞ができ、さらに、B細胞や細胞などのように、協力し合って外部からの微小な異物を排除するのに特化した高度な免疫システムを備えるようになったのです。

ガン死亡は減るどころ

まとめると、するものです。
新しい免疫系は、外から侵入してくる細菌などおもに外来抗原に対して、抗原抗体反応で対処それに対して古い免疫系とは、おもに異常自己細胞に対して直接に攻撃を仕掛けます。
貪食によって異物を飲み込む顆粒球や細胞そのものを攻撃するNK細胞は、単純で原始的な攻撃法ですがB細胞を中核とする新しい免疫系は、一度入ってきた抗原がふたたび入ってきたときには、それに対抗する措置までつくり出すのですから、高度で洗練されています。
ところが、新しい免疫系はその対象が微細な細菌やウイルスなど一部の異物に限られているのに対して、古い免疫系は広範囲に私たちのからだを守っているのです。たとえば、がんのような自分のなかで生み出された異常細胞に攻撃を仕掛けるのはNK細胞のような古い免疫系です。老化やストレスで生じる異常自己細胞を排除しているのも、この古い免疫システムなのです。

人間のからだはよくできていて、若くて活動的なときには、外来抗原を処理する新しい免疫システムが効率よく対応しますが、年をとるにつれて、異常自己細胞を排除するシステムである古い免疫系が活性化するのです。たとえば、三十歳前後から胸腺は自然に退縮して小さくなります。胸腺でつくられる細胞や骨髄でつくられるB細胞は減少し、免疫抑制が起こります。しかしそれに代わって、NK細胞や胸腺外分化細胞などは活性化するのです。
このような古い免疫系が、私たちが年齢を重ねても、握っているのではないかと考えられます。
がんなどの病気を予防し、健康に生きていけるカギをマクロファージが最後にして究極の砦たとえば、がんを取り上げて考えてみましょう。がんは活性酸素によって遺伝子が障害されることによって起こります。
ケアでも中心となるプログラムのひとつです。

病気に対する対応が早い人が多く

そもそも正常な細胞が増殖に使うための遺伝子であるプロトがん遺伝子が障害されて調節できなくなったものが、がん遺伝子です。ですから、がんの元になるプロトがん遺伝子は、だれもがもっています。実際、私たちの体内では毎日111000-五000個ものがん細胞が発生しています。だからといって、それですぐにがんになるわけではありません。ほとんどの場合、それらの細胞は微細な段階で、NK細胞や胸腺外分化細胞などのリンパ球によって排除されているからです。これらのリンパ球は体内をたえず循環していて、がん化した細胞を発見すると、ただちに攻撃して排除しているのです。
しかし、この免疫システムがうまくはたらかないと、がん細胞は見逃されて徐々に大きくなります。
一個のがん細胞が直径1センチの大きさにもなるには何年もかかります。

ふつうなぜ、そのようなことが起こるかといえば、自律神経のバランスを失って生体のホメオスタシスがうまく保たれていないためです。たいていは強いストレスを受けることによって、交感神経の緊張が続いているケースです。すると、顆粒球がふえて活性酸素がからだじゅうに多く発生します。それによって、からだの細胞が傷つけられてしまうのです。
また、白血球が顆粒球過多でリンパ球が減少していると、遺伝子を障害して発がんの原因をつくる活性酸素がふえ、がん細胞がどんどん発生しているにもかかわらず、NK細胞や胸腺外分化細胞の数が減少してはたらきが鈍くなるので、それらを処理しきれなくなってしまうわけです。
さらにがん細胞が成長すると免疫力が低下して、顆粒球も含めた白血球全体が少なくなっていきます。健康な人であれば約六000個前後あるのが、がん患者さんの場合、四000個を切ってしまうこともめずらしくありません。がんがどんどん進行すると、さらに低下していきます。しかも、健康な人であれば白血球中の三五パーセント程度、11100個のリンパ球であったのが、白血球中の割合も低くなり、三0パーセント以下の一1100個以下になってしまいます。それではいよいよリンパ球はがん細胞と戦う力を失い、がんはさらに勢いを増すことになります。末期がんの患者さんのリンパ球は1000個を割ってしまいます。

ホルモンの分泌を多くするように働きかけるんです。
薬物療法が行われます。

細胞を血管壁

検査では発見しにくいのですしかし、そんな末期がんの患者さんでも、がんから生還した方がたくさんいます。なかには、抗がん剤や放射線治療など免疫力を極端に落とす従来の医療を受けてきた人たちもいます。白血球のはたらきが落ちていたことを考えると、それらのケースは、NK細胞だけでは説明がつきませんそこで、さらに古い免疫システムであるマクロファージが関与しているのではないかと、私は考えています。
ですから、このマクロファージこそが究極の免疫力であり、生きる力そのものなのではないかと思われるのです。
それが私の免疫研究のもっとも最近の知見です。

病は気からには医学的根拠がある

Ⅱ心とからだをつなぐ免疫力自律神経は細胞のコンダクター前章で、私たちの免疫力とはどういうものか、ある程度おわかりいただけたと思います。すでに前のページで、働きすぎやそれにともなうストレス、あるいは人間関係の悩みなどのストレスが、私たちのからだを直撃して病気を引き起こすことをお話ししました。そこで自律神経についてもふれましたが、この章では、前のページを踏まえて、免疫力と自律神経にいかに深いかかわりがあるかについて説明していくことにしましょういま、世の中で安保免疫学などといわれていますが、私の免疫理論の根幹を成しているのが、この自律神経と免疫システムの白血球の関係なのです。
ケアでも中心となるプログラムのひとつです。

ストレスを感じない人

そこから、心とからだをつなぐ免疫理論が成立してきたのです。私たちのからだは全身に神経系統のネットワークが張りめぐらされていますが、この神経系統は、手足など意識的に筋肉を動かせる随意神経系と、胃腸などの内臓や血管のように意識して神経を動かすことができない不随意神経系自律神経系に分かれています。後者の自律神経系は、通常私たちのからだのはたらきを自律的にコントロールしてホメオスタシスを保ち、健康を維持する役割を担っているわけです。
きっこうさらに、自律神経には交感神経と副交感神経という拮抗したはたらきをする二つの神経があります。
交感神経はエネルギーを消費する状態のときにはたらく神経で、興奮を支配器官に伝達し、生体を活動的にします。運動すると心臓のはたらきが活発になり、呼吸も速くなりますが、このとき、交感神経の神経末端からはアドレナリンやノルアドレナリンが分泌されて、支配器官の細胞に作用しているのです。
逆に副交感神経は、休んだり眠るときにはたらく神経です。副交感神経はアセチルコリンを分泌して支配器官に作用します。心臓や呼吸を穏やかにし、胃腸などの消化器官に対しては消化液の分泌を促して蠕動運動を活発にするなどの促進作用があり、血管を拡張させて温熱発汗を促します。

ぜんどうすでにお話ししたように、ストレスを感じたときに食べたり飲んだりするというのは、からだが自然にリラックスを求め、副交感神経を刺激しようとするからです。そのために、ものを食べたり飲んだりして消化管を動かすのです。ですからストレスを受けると、私たちは無意識のうちに食べ物に手を出すことになるのです。大きく分けると、交感神経は興奮や活動性を高め、副交感神経はリラックスさせる方向にはたらくということです。昼間活動しているときには交感神経が優位にはたらいており、夜休息しているとき、寝ているときには副交感神経が優位にはたらいています。もちろん夜でも活発に活動したり興奮したりしているときには交感神経がはたらいていますし、昼間でもゆったりしているときには副交感神経が優位になります。一日のなかで、そうした波があるわけです。そして、ストレスを抱えているときには、心身ともに緊張しているので交感神経が興奮状態になっており、ストレスがなければ副交感神経が支配します。
こうした拮抗したはたらきを備えた自律神経が生まれたのは、す。多細胞生物になったことによると考えられま単細胞生物の時代には細胞が一つですから、それが単独ではたらいていればいいだけです。